溶融混練により調製したポリマーブレンド・アロイの組織構造形成メカニズム
- 前田修一

- 5月3日
- 読了時間: 3分
1. 研究の背景と目的
かつての素材開発は、新しい化学構造を持つ新規ポリマーの創出や安価なモノマーの製造が主流でした。しかし、技術が成熟した現在、既存のポリマーを組み合わせる「ポリマーアロイ化」や、無機充填材との「複合材料化」による機能向上が開発の主軸となっています。自然界の材料の多くが巧妙な組織構造を持つ複合体であるように、ポリマーアロイもまた無限の可能性を秘めています。
しかしながら、異なるポリマー同士は熱力学的に混ざり合わない「非相溶」であることが多く、内部には海島構造や共連続構造といった不均一な組織構造が形成されます。この構造の形態やサイズが、材料の衝撃強度や成形加工性に決定的な影響を与えます。
ここでは、これら「構造ー物性ー成形性」の相関を科学的に解明し、経験に頼らない合理的な材料設計指針を確立することを目的として研究した結果を示します。資料の容量の関係で2分割して示しています。
なお、ブレンドの成形性、レオロジー特性や成形品表面外観については別のブログで紹介していますので、そちらをご覧ください。
2. 組織構造の形成機構
ポリマーどうしを機械的に混ぜ合わせる「溶融混練」の過程で、いかにして組織構造が決定されるかを論じています。
二成分および三成分系ブレンド: 成分ポリマーやブレンド全体の粘度といったレオロジー特性、ポリマー間の界面張力、および混練機の回転数や温度・時間といったプロセス条件が、分散相の粒子サイズに与える影響を定量的・系統的に解析しました。
共連続相構造の予測モデル: 二つの相が互いに3次元的に繋がった「共連続構造」について、不均一構造に由来する過剰な界面エネルギーに着目した新しい予測モデルを提案し、実験値との良好な一致を確認しました。
参照;Maeda S, et al., Koubunshi Ronbunshu, 63(2), 103-112 (2006)
参照;
i) Maeda S, et al., Koubunshi Ronbunshu, 63(4), 248-256 (2006)
ii) Maeda S, et al., Koubunshi Ronbunshu, 64(11), 791-799 (2007)
我々、ポリマー材料ラボ(PML)では、ポリマーアロイ・ブレンド材料に関する研究開発を通した多くの経験・知見を有しています。ここでは、溶融混練により調製した2成分・3成分系ポリマーブレンドの組織構造形成メカニズムについて示しています。ここで示した資料は相溶化剤の添加はなく、ポリマー同士の化学反応も伴わない言わば単純なポリマーブレンドに関する研究結果ですが、3成分以上の多相系あるいは反応系など複雑なポリマーアロイ系の材料設計を行う際には基本的な指針を与えるものであり、所望の材料特性を有する材料を開発するためには非常に重要です。このような経験・知見に基づいて、PMLは顧客の皆様の課題解決のためのソリューションを提供いたします。



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