ポリマーブレンドのレオロジー
- 前田修一

- 4月23日
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更新日:5月4日
ポリマーブレンド及びポリマーアロイなどと呼ばれるポリマー材料は、単独重合体には期待できない望ましい特性を持つ材料として学術的にも、また工業的にもその重要性がますます高まっています。それゆえ、材料の加工性と関連して重要である高温における流動特性および粘弾性的性質に関する研究がこの種の材料においても盛んに行われています。
ポリマー材料の重要性
ここでは、代表的な3種類のポリマーブレンドのレオロジー的性質について説明します。
i) 非相溶系ポリマーブレンドのレオロジー
一般的に異種のポリマー同士はお互いに非相溶です。そのため、ブレンド系内部には不均一な組織構造が形成されます。不均一な組織構造(多くは分散粒子相)を有する非相溶系ポリマーブレンドのレオロジー的な性質の特徴は、分散相の存在に起因する第2平坦部と呼ばれる長時間緩和機構がマトリックス相の絡み合い緩和よりも長時間領域に現れることです。
また、非相溶系ポリマーブレンドのレオロジー的性質はマトリックス相を形成するポリマーのレオロジー的性質のみならず、分散相を形成するポリマーのレオロジー的性質、分散粒子相の大きさと形、分散相含有率、マトリックス相と分散相間の相互作用などの因子にも大きく影響されます。
ここでは、上記因子を評価し、その結果に基づいて上記因子のすべてを考慮したPalierneの線形粘弾性構成方程式(エマルジョンモデル)の妥当性を検討した結果を示します。
参照;Maeda S, et al., JSRJ, 22(2), 145-154 (1994)
ii) 相溶系ポリマーブレンドのレオロジー
包装資材分野において大きな需要を占めているプラスチックフィルムの一般的な成形法は、インフレーション成形およびTダイキャスト成形です。それらの成形法を用いて要求されるフィルム特性を得るために、材料のレオロジー特性に関する数多くの研究が報告されています。
特に、材料の透明性を要求される分野において直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)のブレンドは、それら単独成分の透明性よりも優れる特性を有するため透明性に限らず、流動性やレオロジー特性に関する研究も多い材料の一つです。
LLDPE/LDPE系ブレンドの材料特性は成分ポリマー間の相溶性に大きく影響されるため、成分ポリマーの分子特性やブレンド組成の観点から種々の研究が行われています。ここでは、LLDPE/LDPE系ブレンドの溶融粘弾性を同種あるいは異種ポリマーブレンド系に対して提案されている粘弾性混合則を用いた解析を通して、それらブレンド系の相溶性について検討した結果を示します。
参照;Maeda S, JSRJ, 49(3), 227-233 (2021)
iii) 中間的な相溶系ポリマーブレンドのレオロジー
ポリプロピレン(PP)/エチレンプロピレンラバー(EPR)系ブレンド材料はその優れた力学特性のために、自動車分野および家電分野の種々の用途に広く利用されています。従来、このようなPP/EPR系ブレンドの固体状態の組織構造はPPがマトリックス相でEPRが分散相を形成した単純な海島構造であると考えられていました。
最近、このようなブレンド系のPP非晶相にEPRの一部が溶解していそうなことが分かりつつあり、しかもその溶解量が用いるEPRのプロピレン含量に依存して異なること、さらにその溶解量が適切なブレンドは力学的物性バランスが極めて優れていることが分かりつつあります。
このようなPP非晶中のEPRはブレンドの溶融状態からの冷却・固化過程でPP非晶中に溶解したとするよりも、溶融状態において既にPPの中に溶解していたと考えることが妥当です。また、このことはブレンドの固体中のPP非晶相の状態が溶融状態のPPにどの程度EPRが溶解していたかによって決まることを意味します。
それゆえ、溶融状態についての知見は、材料のデザインを考える上で重要であるだけでなく、冷却・固化過程のメカニズムを理解する上にも必要になります。ここでは、溶融状態のPP/EPR系ブレンドのレオロジー的性質の解析からPP中のEPR溶解量のブレンド組成およびEPRのプロピレン組成依存性を評価します。また、ブレンドの固体状態の動的粘弾性挙動からPP非晶中のEPRの溶解量を明らかにし、溶融状態の溶解量との比較からPP/EPR系ブレンドの固体状態の組織構造についても考察します。
参照;Maeda S, et al., JSRJ, 22(3), 155-164; 22(3), 165-172 (1994)
ポリマー材料ラボの役割
我々、ポリマー材料ラボ(PML)では、ポリマーブレンド材料に関する研究開発を通した多くの経験・知見を有しています。ここでは、非相溶系ブレンド、相溶系ブレンドおよび中間の相溶系ブレンドのレオロジー的性質について示しています。
特に、溶融状態のレオロジー的性質を正確に理解することは材料の成形過程を通して直接製品の特性につながるため非常に重要です。これら経験・知見に基づいて、PMLは顧客の皆様の課題解決のためのソリューションを提供いたします。
私たちの目標は、ポリマー材料の開発や改良を通じて、産業界の技術革新を力強く支え、未来を切り開く専門家集団として、業界をリードする存在になることです。



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