PPアロイの構造と物性
- 前田修一

- 4月28日
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更新日:5月3日
近年、工業的な素材開発の流れの中で新規ポリマーの創出あるいは安価なモノマーの製造といった革新的な新技術はほぼ出尽くしてしまった感があります。その一方、ポリマー材料に対するユーザーの要求はますます高度化・複雑化し続けています。このような状況を背景として、特に構造材料用途の汎用ポリマーについては、ポリマーのアロイ化を中心とした複合化によるポリマー材料の性能向上が技術開発の主流となっています。
ポリマーアロイとして定義される材料は、単純な溶融混練によるポリマーブレンドからin situで重合されるキャタロイやブロックコポリマーまで多岐にわたります。また、その内部構造も多種多様で異分子同士が分子レベルで溶け合っているものから互いに相分離しているものまでの広い範囲にわたっています。しかも、相分離した分散粒子の大きさも10nm前後の微細なものから数µmの大きさのものまで様々です。このように一口にアロイ化技術と言っても、溶融混練を始めとするアロイ化手法から材料内部の構造設計にまでわたる多くの複雑な問題を含んでいます。
ポリマーアロイの中でもとりわけ需要が多く、よく研究されてきたのがポリプロピレン(PP)系アロイです。このアロイはプロピレンとエチレンとを共重合して得られるエチレンプロピレンブロックポリマー(EPBC)をベースポリマーとして、さらにこれにエチレンプロピレンラバー(EPR)などのゴムおよびタルクを溶融混錬して調製されますが、最近、このようなPP系アロイの設計に対する考え方が大きく変わってきています。
従来、PP系アロイの設計においては、基本的にそれぞれが単独で高性能である成分ポリマーの組み合わせが最もよいであろうと考えられていました。すなわち、PPは高剛性および高耐熱性であるほど、またEPRは低温特性を重視するがゆえにエチレン含量が多く柔軟であるほど良いとされていました。一方、成分間の相溶性と組織構造、さらには組織構造と諸物性との関係については、何らかの関係があるには違いないと漠然とは考えられていましたが、あまりわかっていないこともあってそれほど考慮が払われていませんでした。(少し言い過ぎかもしれませんけど…)そのため、従来のPP系アロイ内部の組織構造は比較的大きいものでした。ところが近年、ポリマーアロイ研究の進展によりポリマーアロイの本当に有用な性質は、成分ポリマー単独の性能からというよりもむしろアロイ内部の組織構造に起因する割合が大きいことが明らかになり、組織構造制御の重要性、つまり、成分間の相溶性制御の重要性が一般に広く認識されるに至っています。
ここでは、PP系アロイ材料の組織構造と物性に関する以下に示した3項目を示します。
i) PP/EPRモデル系の脆化温度
ii) ベース材料としてのエチレンプロピレンブロックコポリマー(EPBC)の組織構造と
レオロジー
III) EPBC/EPRの組織構造とレオロジー
なお、PP系アロイ材料の表面外観改良(フローマーク)に関しては別のブログで説明しておりますので、そちらへお越しください。
参照;
i) Kawabata K, et al., JSRJ, 25(4), 221-222 (1997)
ii) Maeda S, et al., JSRJ, 35(4), 213-219 (2007)
iii) Maeda S, et al., JSMSJ, 56(1), 13-20 (2007)
我々、ポリマー材料ラボ(PML)では、PP系アロイ材料に限らず、ポリマーアロイ・ブレンド材料に関する研究開発を通した多くの経験・知見を有しています。ここでは、PP系アロイ材料に関する3項目の組織構造と物性を示しています。特に、EPBCの組織構造を正確に理解することはPP系アロイの材料設計につながるため非常に重要です。これら経験・知見に基づいて、PMLは顧客の皆様の課題解決のためのソリューションを提供いたします。



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